今日の雑感

学会や研究会というもの、その業界人だけが参加するなら法人化しなくても特に支障はないでしょう。しかし、広く業界外へも参加を求める場合、そして会費を徴収するときは、法人化していないと「いったい誰の懐に入るのだ」ということになります。


ELN

今日はELNの理事会がありました。今年のシンポジウムのテーマは「AI・ロボットとエンタテインメントの未来」です。コーディネーターはあの福井健策先生、登壇者も多士済々。大変面白くなりそうです。5月25日土曜日です。


今日の一言

セーフかアウトか、微妙な事案は常にあります。法律的にはセーフでもビジネス的にはアウト、ということも多い。最後はビジネスで判断するほかないのです。


ELN

本日のELNは「オンライン上の知的財産権等の企業や個人の権利を誰が守ってくれるのか?」と題して、イタリア弁護士の方とNippon文化協会理事のイタリア人の方とテレビせとうちの方の3人のご発表。iModeが1998年でもう21年も前とは…DSが2004年でここから子供もネット接続が容易に。その子供も15年でもう大人です。デジタル化で海賊版も様変わり、アニメも膨大な数がネットで見られる。例えば名探偵コナンも全話見られる。日本のコンテンツを早く見たいというのが根底にある。模倣品も、例えばベアリングの模倣品が非常に多い。中国で製造される。実市場で対策すると売上が上がると。つまり模倣品が膨大な数で出回っている。そしてなりすまし。例えばアシックスのオニツカ云々、本物になりすましたウェブサイトを作り、堂々と売っている。そして、海賊版についてはメディアの意識が低い。
やれやれ、日本はやられ放題である。戦わないと何も得られない、逆に奪われる。それが現実である。

ELN

本日のELN研究会は、著作権法の平成30年改正の30条の4、47条の4、47条の5、これら柔軟な権利制限規定につき、松田理事長のご講演。30条の4の柱書の、思想又は感情を享受しないという要件は、これまで定義規定以外で全く使われたことがないもの。3号では、人の知覚による認識を伴うことなく云々とある。すると、人の知覚は伴うが思想感情は享受しないという類型が存在することになるが、具体的には何か。パロディか?パロディが適法化されたのか…いやいや裁判所がそう判断してくれる保証はない。この「狭間の類型」の利用方法を発見したら、ビジネスができるだろう。47条の4は柱書で「その他の」ではなく「その他」としてあり、これは法律用語として意識して使い分けている(間違って使っている法律もあるが)。その他これらと同様に、これは類似のという意味である。なお1号はキャッシュ、2号はバックアップのこと。47条の5は1項各号は限定列挙。1号は検索役務。2号は情報解析だが、これはビジネス化できるのではないか。30条の4の情報解析とどう違うのか。47条の4は結果を提供してよいが、30条の4は提供してはいけない。情報解析の結果としての統計など。データベースを作ってよい。でもわからなかったのでビジネス化しなかった、又はこっそりやっていた。47条の5は解析に加え著作物を使ってよい。2項では複製、公衆送信、頒布もできる。つまり販売もできるのである。かなり広く認めている。なお1項3号では政令で定めるとしている。制限列挙は柔軟でないが、政令で定める余地を残しているのが柔軟。
30条の4第3号は何か。審議会では具体的条文はわからない。法制局が作って国会に提出されて初めてわかる。パロディか?マッドアマノ事件とか。条文ができたら、作った人の意識は関係なくなる。最高裁判例では認識さえしていればダメだったが…。3号の例はリバースエンジニアリング。しかしそれはアルゴリズムを解析してクローンプログラムを作ることではないか。二十数年前、米国から富士通とNECが訴えられたのではなかったか。コードが違うのだから良いのではないか、という反論は、そのコードはIBMのプログラムを解析して分かったもの。ソースプログラムを読むことは思想感情を享受しているのではないか。30条の4は非限定例示規定、47条の4は例示限定規定。かといって厳密に例示とすると柔軟でないので、類推できると解する。47条の5第1項3号の政令の中身は何か。審議は秘密会で行われた。資料は机上配布して回収。なぜなら企業のビジネスモデルが書かれているから。検索結果にコンテンツを一部表記するのは外側。静止画を動画化するのは内側。内側まで認めないと意義に乏しいのではないか。2Dを3Dにするのは無理だろうが…その他諸々。

基本無料

本日のスマブラSの発売に先立ち、去る11月29日、任天堂は「ネットワークサービスにおける任天堂の著作物の利用に関するガイドライン」を公表しました。一言で言えば、ゲーム実況を自由にやっていいよ、というものです。そもそも著作権は非常に強い権利であり、実況どころかインターネット上にアップロードする行為全てを禁止することだって可能なわけです。しかしそれをやっては「流行らない」だけの自縄自縛。黙認という「阿吽の呼吸」が通じるのは「古き良き」日本社会だけであり、ここまではいいけどここからはだめ、という明確な基準を設けるのが今の時代に求められているということです。

つくづくインターネットは社会を根本から変えました。インターネットのおかげで、一般人が、極めて容易かつ安価に、複製や配信が可能になったのです。それを認める方向の著作物のみが生き残るでしょう(前述のガイドラインも利益配分なし即ち無料でやっていいということ)。ビジネスモデルが根本から変わったのです。自由に使っていいよ、が「基本」になったのです。つまり「基本無料」というやつです。ゲームに限らずどのような役務も、基本無料から逃れることはできません。しかし、ではどこで稼ぐのか。稼ぐ元がしっかりしていないと、基本無料で「ばらまいただけ」に終わってしまう危険があります。家庭用ゲーム機のゲームであれば、ゲームを買ってもらうというわかりやすい「元」があります(ゲームであっても物語を「読む」ようなゲームでは配信されたら売上が下がることはあるでしょうが)。スマホゲームはガチャ。しかし、役務ではどうか。難しいところです。


ELN

本日のELN研究会は「出版物海賊版の最新状況とその対策」と題して、集英社の法務担当者の方のご講演。まず、海賊版サイトは実は日本語で読めるものは少なく(出版社が撲滅に尽力しているからですが)、外国語のものが多い。例としてベトナム語のものも示されました。コンテンツの歴史で3つの革命があり、15世紀のグーテンベルクの活版印刷、第二次世界大戦後のテレビ放送とビデオ機器、21世紀のデジタル化とインターネット。海賊版サイトで近時騒がれたのはFREEBOOKSそして漫画村。後者は月間訪問者数1億7000万人という超巨大サイトになっていた。それが閉鎖される前と後で正規の電子書籍の売上がガクッと落ちていたのがV時回復で一目瞭然。コンテンツ自体ではなくネタバレサイトも逮捕者が出たら沈静化した。ただYOUTUBEに移る動きも。権利者の努力は素晴らしい。直近1年で閉鎖に追い込んだサイト数は200強とのこと。しかし後から後から出てくるのです。大規模な捜査をして運営者を逮捕したり、いたちごっこですが頑張り続けるほかない。しかし、海外では海賊サイトで漫画を読む習慣がついてしまっているという困った事態。やはり、運営者やサーバーが全て海外にある事案が課題です。これは国益の問題でもあります。現実の人類社会は国単位で動いているのであり、自分の権利は自分で守るほかないのと同じく、自国の利益は自国で守るほかありません。著作権は日本は圧倒的な「出超」なので、他国の言説に乗るのは工作員的人物ということになります。とにかく、海賊サイトを顕名で擁護する者はいないでしょう?匿名で擁護するのは業者かクズです。ここ数年で刑事事件として警察が動いてくれるようになったとのことで、希望はあります。明日からABJマークという正規版サイトの印が始まるとか。権利者の努力は応援したいですね。

漫画村の件

著作権を無視した漫画の海賊版サイト「漫画村」の運営者を日本の弁護士が特定した、というニュース。素晴らしい成果ですね。米国で民事訴訟を提起してディスカバリーの手続を使ったと。こうすれば特定できるだろう、ということ自体は弁護士ならわかっていたわけですが(前提となる情報はある程度必要でしょうが)、実際にそれをやるとなると、なかなか大変なのは弁護士でなくとも推測はできるでしょう。米国で訴訟提起となるとねえ…。本件では依頼者の支払いの問題は無いでしょうが。

漫画村運営者は日本で日本人だったのですかね。そこも徹底的に解明してほしいし、解明されるでしょう。これだけは明言できるのは、漫画村を擁護する奴はロクでもない人間ということ。悔しかったら顕名で擁護してみれば?というところです。


改正著作権法

本日のELN研究会は「改正著作権法を知る?柔軟な権利制限規定を中心として?」と題し、文化庁著作権課課長補佐のA氏のご講演。長らく争われてきた?日本版フェアユースですが、フェアユースではないがその方向にジワリと一歩を踏み出したような、いくぶん抽象的な文言で規定しています。デジタル化・ネットワーク化の進展に対応した柔軟な権利制限規定の整備がなされたということです。なお米国のフェアユース条項は「批評、解説、ニュース報道、教授(略)、研究または調査等を目的とする…」という定め方なんですよね。考慮要素が4つ挙げられていますが、YOUTUBEがこれに該当するとは考えにくいところです。また、かの有名な「フェアユースが無いから検索エンジンを作れなかった」論は誤りで、検索アルゴリズムや広告掲載システムの進歩の競争に敗れたと。まあ日本以外でもできなかったわけで…。それで今回の改正著作権法ですが、成立が本年5月18日、公布が5月25日、施行期日は来年1月1日です。条項自体は結構大きく改変されます。新30条の4では思想感情を享受しない場合に、結構フェアユース的に規定していると感じます。新47条の5では電子計算機による情報処理等での軽微利用で、やはりフェアユース的に感じます。利用の目的に公共性があるかといった要素は見ないからフェアユースではないと。まあ、AIによる深層学習で違法にはしないという立法趣旨ですよね…。管理人としては、要するに「他人の褌で相撲を取る」のかどうかという感覚で判断して進むくらいの気概がないとビジネスでは勝てないでしょう。

ブロッキング

漫画村のブロッキングのニュース。緊急避難を政府が要請するという異様さ。ブロッキングは言論の自由において極めて危険なことは説明を要さないでしょう。法律家的には反対するしかないところで、法律家なのに正面から賛成する人がいたら、リーガルマインドとしていかがなものか。ただ、児童ポルノはブロッキングが認められているんですよね(管理人も関係していますが…)。つまり結局は程度問題に行き着くわけです(児童ポルノのブロッキングにも反対するなら別ですが…)。最低限、立法してからということでしょう。立法もないのに緊急避難で、というのは不思議です。ではいつ頃に立法する見通しなのでしょうか。早いなら避難の必要性が乏しいし、遅いなら緊急とは言えないでしょう。ロビー活動が功を奏したということでしょうが、ではなぜこんなに急に効を奏したのか。国家や政権にとっては直接の利害はないわけですよ。ブロッキングをしてほしいのは出版社やメディアでしょうか。では政権にはどういう利益があるのか、ということを考えると…

その行為自体は良いものである、からといってそれだけで認めるのでは法治国家ではないわけです。しかし、国民の支持を得られるかどうかは別であり、それこそまさに政治であり、主権者の選択なわけです。


公衆送信権侵害の損害額

東京地判H28.12.15です。原告ABCDは某宗教法人の元職員で、その宗教法人に関する活動をする者たち。被告は著述家。被告は、原告らのH27.12.12の講演会(参加費1,000円で誰でも参加でき、定員86名の会場を使用)に参加費を払って参加し、3時間に亘ってツイキャスで映像と音声を配信しつつコメント(「ラスボス登場」等)を流しました(配信の視聴者は437人)。判決では、公表権侵害は認められず、時事の事件の報道には当たらないとされ、コメントによる名誉・声望の毀損は無いとされました。公衆送信権侵害は当然ながら認められたところ、興味深いのはその損害額です。ABは各1時間講演し、Cは10分間の挨拶、Dは3分間の挨拶、という事実関係で、原告らは著作権法上の推定規定を用いず、ABは財産的損害が各400万円で精神的損害が各30万円、CDは財産的損害が各50万円で精神的損害が各10万円と主張しました。つまり合計で980万円です。これに対する裁判所の認定額は、ABは各6万円、Cは1万円、Dは3,000円、合計で133,000円でした(つまり1分1,000円)。請求額の1.4%といったところです。事例判決なので直ちに他の事例に当てはめられるわけではありませんが、参考になるでしょう。裁判所が認定してくれる損害額は、一般の方が思っているよりずっと小さいことが…


今日の雑感

著作権に関しては、権利者に無断で利用する場合、完全にセーフというのはなかなか難しいものです。ただ、そのような現状に権利者側が満足しているわけでもないのです。お互いに不満なら、それは「丁度良い落とし所」なのかもしれません。


今日の雑感

新しい技術で法的には白黒はっきりしない行為が色々と出て来ます。誰か(と誰か)が最後まで妥協せず徹底的に戦ってくれたら、新判決が出来ます。それで、どこまでが適法でどこからが違法かが明らかになるのです。


calendar

S M T W T F S
   1234
567891011
12131415161718
19202122232425
262728293031 
<< May 2019 >>

profile

links

categories

recent comment

archives

search this site.

others

mobile

qrcode

powered

無料ブログ作成サービス JUGEM