裁判手続のIT化

一昨日のインターネット法律研究部は、「裁判手続等のIT化」と題して、K先生のご発表。既に東京では弁護士も参加した模擬裁判も行われたとか。最終的には裁判所のサーバーのエクセル様の枠に原告被告双方が書き込んでいく、というところを裁判所は目指しているそうですが(裁判所の不満として、原告被告が出す準備書面が冗長である、というのが根強くあります)、それは裁判所が「この案件はこういう法律構成だから裁判所が設定した要件事実の枠にその要件事実だけ書いてね」ということです。まあ、少なくとも裁判官視点ではそれで紛争が整理整頓できて良いのですが、法律構成を裁判所が規定することになりかねません。また、最初に法律構成を設定する原告が有利になりそうな予感もします。ただ、実際の制度変更の進行状況としては、2020年頃に準備書面をネット提出できるようになるか(?)、というくらいで、思ったほど早くありません。また、経過措置として10年くらいは従来方式も認められるでしょう。

いずれにせよ、いつかはIT化するのは当然であり、100年後も紙の分厚いファイルを持ってえっちらおっちら、というのはナンセンスです。どこかでは切り替わるのです。便利なことは間違いないのであり、あとは慣れの問題です。便利なのに嫌だと感じるなら、老いたということです。今の子供は、生まれた時からスマホでネットを見ているのですよ。2chすら「おっさんの溜まり場」であり、TVなどオールドメディアは年寄り向けの番組ばかりやっている所に過ぎません。


今日の雑感

簡裁で司法委員をやっていると、物損のみの交通事故の案件によく出会います。原告と被告の主張の差が、せいぜい10万円とか20万円とかなんですよね。訴状と答弁書では大きく離れていても、内心では「ここまでなら仕方ない」という金額があるわけです。そこは本当に差が小さい。そして両者とも保険で支払うと。これで、お互い弁護士を立ててガンガン何ヶ月もやりあって…。裁判を受ける権利は憲法32条で保障されていますので、いいですけどね、別に。ただ、人生で使える時間は有限ですから、何かに使えば別の何かには使えないわけです。


民泊裁判

先週水曜日に東京地裁で、目黒区のマンションで管理規約違反の民泊を営業したとして、管理組合が区分所有者に対して提起した訴訟で、宿泊施設としての利用停止と弁護士費用等の支払いを命じる判決が出たようです。このマンションはオートロック式で、利用者は玄関外壁のパイプに無断設置された箱に鍵を返却する仕組みだったとか。

あなたがマンションに住んでいて、突然、隣も隣も隣も隣も民泊部屋になったらどう思いますか、ということですよ。1部屋認めるということは、全部屋認めるということですから。民泊を広めたい国や業界の「お偉いさん」方は、突然隣が民泊部屋になるような所には住んでいないでしょう。


今日の雑感

日本の民事訴訟は弁護士を必要としない制度なので、原告でも被告でも、いわゆる本人訴訟は可能です。ただ、裁判所としては弁護士をつけてほしい。特に原告の場合は、自ら訴訟を選択したわけですから、その請求権の根拠を法的に明確に説明する必要があるわけですが、それが素人では難しい。今はインターネットがありますから、検索すれば、訴状や準備書面の書式は出てくるでしょう。それを参考に、パッと見では整った書面は作れるでしょう。ただし、その「パッと見」は「素人がパッと見て」ということです。弁護士や裁判官が見たら、支離滅裂で用語も間違っいて「解読」が困難だし、解読できても主張を成立させるのに必要な内容が欠けています。そして、そのことを説明して理解してもらうのも難しいのです。これが弁護士なら、まず「欠けている」ことがあまりないし、欠けている場合も、なにをどう補充すべきか、一言二言で簡単に説明し理解してもらえるのです。


今日の雑感

民事紛争は、相手が個人である場合、法的にあるいは裁判で勝てるかどうかとは別に、相手がどのような「報復」をしてくる可能性(危険性)があるかどうかを考えなければなりません。違法行為でもやる、そういう可能性がある相手の場合、裁判で勝って、最悪の結果となる危険性もあるのです。極論、殺しに来るかもしれないわけですよ? それも有り得ると考えたら、それ以下の「普通の」違法行為(インターネットで誹謗中傷とか不適切な画像を拡散とか)など、いとも簡単に行われることが理解できるでしょう。


マンションの共同利益背反行為

本日の東弁(中略)マンション部会で、区分所有法6条1項の共同利益背反行為の裁判例の検討をしました。裁判になるような事案では、共同利益背反行為に該当すると認定されたものも結構あります。ガス湯沸かし器バランス釜のために壁に穴を開けた、といったものから、管理規約に住宅専用規定がある場合の保育室としての使用、同じくカイロプラクティック治療院としての使用、同じく託児所としての使用、同じく会社の事務所としての使用、同じく税理士事務所としての使用、同じくシェアハウスとしての使用、といった具合です。今話題の民泊への使用は、そもそも従来グレーだった民泊に手続が法定された結果、まず、適法に手続を履行しているかが問われます。そこが違法で、現実に事業が開始されていれば、差止めも可能となる可能性が高くなります。そこは適法の場合は、宿泊客が粗大ゴミを散らかしたり夜間に大騒ぎしたりしても、それだけで共同利益背反行為と認定されるか微妙です。その宿泊客だけの問題かもしれません。それが常態化し、管理組合からの度重なる警告でも改めない場合、ようやく共同利益背反行為となるか。民泊を認めるということは、それ自体、ある程度のことは許容するということになるものです。今朝の日経新聞によると、欧州でも民泊をどう規制するか悩みがあるとか。結局は今後の裁判例の蓄積です。現状では適法違法の境界がはっきりしませんので、個々の事案ごとに判断するほかなく、要するに弁護士に相談するほかないということ…


訴訟提起

民事で訴訟を提起しても、第1回期日は1ヶ月〜1ヶ月半は後になります。そして答弁書は単に「原告の請求を棄却する、訴訟費用は原告の負担とする、との判決を求める。」として、理由は「追って主張する」というだけの形式的な1枚の書面が出てくるだけ、かつ被告は第1回期日に不出頭、ということが多い。この被告の対応は法律で認められており(民事訴訟法158条)、実務でもよく執られる方法です。被告は突如として訴状が来るのですから、期日は都合が悪いし、反論にも時間がかかるのは仕方ないからです。そして第2回期日は第1回期日の1ヶ月〜1ヶ月半後に指定されます。つまり、訴訟を提起しても相手から実質的な反論が出てくるのは2ヶ月〜3ヶ月後であり、その間、事態の進行は停止するのです。

一般の方は、訴訟を提起すれば事態を迅速に(かつ大きく)動かせるのではないかと思っておられるようですが、むしろ事態を一旦停止するのが訴訟提起なのです。従って、訴訟提起は訴訟以外では事態を動かせない場合に執る方法ということになります。


カフェー

人間、思い込みとは恐ろしいもので、間違っているかもしれないと思えば慎重になるし調べもしますが、間違っていると全く思っていなければドヤ顔で言ってしまうものです。

反省と自戒を込めて。カフェー丸玉女給事件という判例があり、これは法学部1年生で習う基本判例の一つです。事件は昭和8年で判決は昭和10年のようです。これは自然債務であり、心裡留保も関係してきますが、要するに「金を払わなくてよい」という判例です。それを管理人はなぜか「金を返さなくてよい」という判例と勘違いしてしまいました…発言はもっと慎重にならなければなりません。


民事訴訟のIT化

本日のインターネット法律研究部は「民事訴訟手続のIT化 訴状提出段階」と題してK先生のご発表。シンガポールや韓国ではIT化はかなり整備されており、多くの課題も解決策はあるということ。IT化とは紙を廃するということであり、多少の経過措置や救済措置はあっても、紙は使わなくなるのです。システム開発でエクセルに課題を双方が追記していってデータを共有するように、訴訟の要件ごとに原告被告が追記していって争点が絞られていけば大変有効でしょう。勿論、思いファイルを持って行かなくてもよい、そもそも裁判所に行く必要がない、という素晴らしい利点があります。いつかは必ずIT化されるわけですが、管理人が思う最大の課題は、非弁を排すること。これは決して小さな問題ではないのであって、現状でも代書や代行という名の代理や、所謂コーチ屋が存在するわけです。資格制度を根本から否定する人間は、無資格者にフグを捌いてもらって、無資格者に車を運転してもらって、無資格者に外科手術をしてもらえばいいんじゃないですかね。

数万円に

ここ二日連続して町田簡裁に行きました(けっこう遠い…)。管理人は司法委員をやっています。司法委員は裁判官の手助け?をして和解をまとめるのが仕事です。簡裁は少額の事件しか係属しません。原告被告の主張額の「ズレ」がわずか数万円、というものも珍しくありません。数万円に人生の時間をどれだけかけるか、ということになると、だいたいは和解がまとまります。だいたいは。和解案は裁判官と協議したものですので、判決を求めてもそれより良いものになることは普通はありません。それでも判決を求める人もいるんですよね。


不用心

詐欺師は当然罰せられなければならないし、賠償もしなければならない。被害者に「悪い」ところは無い。ただ、銀行の預金利息より高い、それもはるかに高い利回りの話は、全て詐欺なのである。外出する時に施錠しなくて空き巣に入られた場合、被害者は悪くはないが、甚だ不用心であったと言える。世の中、悪人は多い。それは、大人になれば誰しも認識すべきである。悪人が多い世の中で、不用心であったなら、生計を共にする者(推定相続人を含む)からは強く非難されるだろう。


裁判手続等のIT化

本日の東弁インターネット法律研究部は、裁判手続等のIT化と題してF先生のご発表。以前もここに書きましたが、この話は近時急速に進められています。訴訟形態によっては非常に有益ですし、両当事者の合意を前提とするなら障害は無いはずと言っても過言ではないでしょう。ただ、執行手続の改善(国家が財産を探知してくれる制度)のほうが重要と思いますけどね。それと、懲罰的損害賠償は慎重に検討すべきと思いますが、訴訟にかけた時間や労力を考慮した賠償額の上積みの制度は制定されて然るべきと思います。いやほんと、弁護士費用とは別にね。弁護士費用だって実際の出費額ではなく判決での認容額の十分の一といった決め方をしているのですから、裁判官が諸般の事情を総合考慮して決めればいいんですよ。

民泊

本日のマンションPTの勉強会。民泊は標準管理規約に違反するか。裁判例は形式論ではなく実質的かつ個別具体的に判断していると。通年なのか一定期間だけなのか、オートロックはあるのか周辺環境は、等々。どういう紛争においても裁判所は実質的に考えます。形式論だけでバッサリ切り捨てたら、必ず限界事例で座りが悪くなるものです。被告が頑張れば実質論にならざるを得ない。


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