今日の雑感

藪の中、という芥川の小説があります。仮に、嘘をついていない、主観的には事実そのものであっても、それが裁判官に認めてもらえるとは限らず、また、客観的証拠と必ずしも整合しないこともあります。それで、争っている金額は何円なんですか、ということ。人生、やらなければならないことは山ほどあります。相対的に小さな問題━━金額だけの問題でありその金額が小さければ人生において小さな問題でしょう━━については、テキトウなところで妥協して終わらせる、それが健常人の感覚でしょう。人生、何事も有限であり、時間は最も貴重なのですから…


今日の一言

表面上は鋭く激しく対立しても、水面下では妥協点を探る。その資質が必要なのは、政治家に限りません。


マンション管理・第三者管理者

昨日の東弁マンションPTでは、マンション管理の相談を受任する場合の報酬体系について話し合いました。弁護士が管理組合の顧問になるなら、これは株式会社の顧問になるのと同様で、古典的な態様であり特に悩ましくはありません。一方、弁護士が管理組合の第三者管理者になる方式。これは新手法であり(今まで法的に不可能だったというわけではありませんが)、どのように報酬を定めるか悩ましいのです。弁護士を第三者管理者にするマンションの典型例として想定されるのは、戸数が多く区分所有者は雑務をやりたくないというマンション。第三者である弁護士が管理者(理事長)となり、想定としては理事会は置かず、管理会社はいる。そこで、管理会社を適切に指導監督する(場合によっては協力する)というものです。弁護士は単なる顧問とは異なり、総会に出席どころか招集するわけで、その他マンション管理に関する様々な紛争(上の階の騒音とかペットの悪臭とか…)に、管理会社と密に連絡を取りながら主体的に対応することになります。管理費や修繕積立金の口座の管理については、管理会社のみならず弁護士についても、通帳と印鑑を両方持ったら横領の危険があることを否定できません。そこは、両方を同一人が持つのではなく、横領が不可能な状況にすることになります。

このようなマンション管理特有の受任業務は、マンション管理に詳しい、端的に言えばマンション管理士試験に合格している弁護士が最適任と考えられます。管理人もマンション管理士試験に合格しています。ていうか、マンション管理士という資格が始まった頃には予備校でマンション管理士試験の受験者向けの講座の講師をしていましたから…


今日の雑感

和解は納得してするもの、というのは根本的誤解である。

今日の一言

シャーロックホームズって、一つの事件が終わったら、たとえそれがどんなに労力を費やした大事件であっても、「じゃ、次の事件」と切り替えるんですよね。地味に凄いことです。


事実と証拠化

紛争は、事実の争いと評価の争いに分類されます。このうち、評価は人の数だけありますが、事実は一つです。そして、実務的には、事実について共通認識に至れば、ほぼ解決、言い換えれば合意(和解)は可能なのです。評価だけで争う人は、ほぼいません。ただ、事実について、いちいち証拠化されていない。これが重要で、証拠が無ければ事実の争いは(当事者間では)決着せず、上位の公権力すなわち裁判所に事実認定をしてもらうしかありません。訴訟は大変面倒なものです。常日頃から、事実について証拠化する(いざとなれば証拠がある)ようにしておくことは、何よりも大切です。


弁護士以外

法的紛争は弁護士しか代理できないのよね。
そうや。そして、当事者の主張が対立していれば、まず間違いなくそれは法的紛争なんや。
それを弁護士以外が「やりますよ」と、しかも「安くやりますよ」と言っているからといって、そこに依頼すると、「安かろう悪かろう」ならまだしも、「高かろう悪かろう」になる危険も十分にあるで。
小規模な「弁護士以外」はインターネットで広告し、大規模な「弁護士以外」はラジオやテレビで広告しているわね。
何が法的紛争か、一般の人にはわかりにくいやろう。
やから、「困ったら弁護士」こう考えてけば間違いないんや。困った時に弁護士以外に相談するのは危険なんや。
もちろん、弁護士にだって危険はあるで。やけど、弁護士以外に相談する危険とは次元が異なるんや。
世の中、大規模に広告してマトモそうに見えても全くマトモじゃない、というものは多々存在するからね。「困り事を解決する」とういう案件でも、一般の消費者被害と何も変わらないわ。

費用対効果

簡易裁判所での事件は、当然ですが紛争の経済的規模が小さい。10万円やそこらを妥協できないから、お互いに弁護士に依頼して、裁判官を働かせて、もちろん自分自身も膨大な手間暇をかけて、延々と訴訟手続を進める。費用倒れになっても構わないからと。もちろん権利ですから何も問題ありませんが、人生においてそれに意義を見出すかです。

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失火と免責

民法709条

故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

失火ノ責任ニ関スル法律(いわゆる失火責任法)

民法第七百九条ノ規定ハ失火ノ場合ニハ之ヲ適用セス但シ失火者ニ重大ナル過失アリタルトキハ此ノ限ニ在ラス

以上から、失火により発生した損害(延焼被害等)においては重過失の場合のみ賠償責任を負います。ただ、コンロに火をつけて家を出るなどは重過失と認定される可能性は十分にあるでしょう。

破産法253条1項柱書/2号/3号

免責許可の決定が確定したときは、破産者は、破産手続による配当を除き、破産債権について、その責任を免れる。ただし、次に掲げる請求権については、この限りでない。

二 破産者が悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求権

三 破産者が故意又は重大な過失により加えた人の生命又は身体を害する不法行為に基づく損害賠償請求権(前号に掲げる請求権を除く。)

以上から、重過失により損害賠償責任を負う場合でも、二号の悪意(積極的加害意思)が無いのは勿論のこと、三号の生命身体被害でもない(家屋や物品の焼失被害の)賠償責任については、免責される可能性は十分にあるでしょう。なお、仮に免責されなくても、金が無い所から金を取ることは決してできません。当たり前ですが、この当たり前がわかっていない方が多数存在するのも事実。

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今日の一言

和解というのは納得するのは難しいものです。納得とは別に割り切りができるかどうか。人生の何事にも当てはまるでしょう。

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今日の一言

契約書は大切。勿論、契約締結時(契約成立時、契約開始時)の契約書が、です。 -----

名誉毀損、対抗言論、クリーンハンズ

東京地判H27.10.8は、某経済評論家が「増税と政局・暗闘50年史」の記載部分により名誉が毀損されたと訴えたもので、慰謝料として150万円の支払いと謝罪広告の掲載が認められたものです。その中で、対抗言論の理論による免責について「名誉を毀損された者が、対抗言論により損害回復しなければならず、損害賠償等を求めて裁判所に提訴することを禁じられるとは考えられない」と否定され、クリーンハンスの原則による請求排斥についても「原告が日常的に第三者に罵詈雑言を吐いているとしても、これと同等又はより穏やかな表現であるならば原告の名誉を毀損してもよいとする法的根拠や理由は全くなく」と否定されています。当然です。しかしこのような議論が行われるのが世間というもの。やれやれです。

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司法委員と和解

今日も行ってきました司法委員。法廷では裁判官の隣に座っています。一段高い裁判官席から見れば色々とよくわかるのは本当です。別室での話合いでは、裁判官は同席しません。司法委員・原告・被告という面子で、司法委員が両者から話を聞いて和解案をまとめます。簡裁では司法委員が和解をまとめるのです。管理人も、今日も一件和解をまとめました。もちろん、和解がまとまるのは原告被告双方のご理解のたまものです。民事訴訟はそのほぼ全てが金を求めるものであり、そうであれば和解が不可能な事案はほぼ存在しません。和解は、可能である以上に、双方にとって有益でもあります。前回、和解できず判決の流れかと思っていた案件(前記とは別件)も、今回和解成立の運びとなりました。 -----


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