ELN

昨夜のELN月例会は「パブリシティ権の実務」と題してY先生とA氏によるご講演。パブリシティ権も今では当然ある権利のように思っているが、実のところ歴史は古くない。東京地判S51.6.29マーク・レスター事件、東京地決S53.10.2王選手記念メダル事件、(最判S59.5.29NFL事件、)東京高判H3.9.26おニャン子クラブ事件、東京高判H11.2.24キングクリムゾン事件、(東京地判H17.3.31(長嶋一茂氏の肖像の広告利用の事件)、)東京高判H18.4.26ブブカスペシャル事件、最判H16.2.13ギャロップレーサー事件、(東京地判H22.4.28河相我聞事件、東京地判H22.10.21ペ・ヨンジュン事件、京都地判H23.10.28光市事件精神科医事件、)最判H24.2.2ピンクレディー事件。このピンクレディー事件判決がパブリシティ権の議論において基盤になるわけだが、まだ12年しか経っていない。その後、東京地判H25.4.26笠倉出版事件、知財高判H27.8.5週間実話事件、(大阪高判H29.11.16Ritmixのマスタートレーナー事件、)東京地判R元.11.13ジルスチュアート事件、知財高判R3.12.24週刊新潮事件、東京地判R4.10.28(イラスト映り込みの事件)、(東京地判R4.12.8(パブリシティ権の譲渡性が争われた事件)、)東京地判R5.1.20/知財高判R5.9.13FEST VAINQUEUR事件、東京地判R5.1.26同人誌事件、と来ているわけだ。パブリシティ権の侵害が認められても、損害額はどうい算出するのか。パブリシティ権は譲渡性できるのか、相続されるのか。ライセンシーによる行使はどうか。物のパブリシティ権はギャロップレーサー事件で否定されたが可能性は無いのか。といった多くの論点がある。


継続的に業務を行わせる契約の効力を失わせることは可能である

民法651条(委任の解除)
1 委任は、各当事者がいつでもその解除をすることができる。
2 前項の規定により委任の解除をした者は、次に掲げる場合には、相手方の損害を賠償しなければならない。ただし、やむを得ない事由があったときは、この限りでない。
一 相手方に不利な時期に委任を解除したとき。
二 委任者が受任者の利益(専ら報酬を得ることによるものを除く。)をも目的とする委任を解除したとき。

民法652条(委任の解除の効力)
第620条の規定は、委任について準用する。

民法620条(賃貸借の解除の効力)
賃貸借の解除をした場合には、その解除は、将来に向かってのみその効力を生ずる。この場合においては、損害賠償の請求を妨げない。

民法656条(準委任)
この節の規定は、法律行為でない事務の委託について準用する。


今日の一行雑感

思えば同級生Uの裁判も、検察主張の航跡と弁護人主張の航跡に対し、裁判所は第三の航跡を認定したんだったよなあ…


今日の雑感

ある用件で複数の日時を仮押えとなった時、他の案件でそこを外すのは非常に困る。そこを外すため他に支障が生じ、結果的には外さなくてよかったとなるのだから。可及的速やかに確定してもらわないと。一つ一つは小さなこと(普通は○○するのにこの時に限ってたまたま○○しない)が色々と間が悪く重なってしまうと、大きな「はぁ〜…」になってしまうのである。


今日の一行雑感

長く続いた訴訟が和解させられそうだとなった時の裁判官の熱意は実に強いものである。


スルー力

「『一晩で500万円が消えた』…SNSで横行するFX投資勧誘の落とし穴」という産経新聞のインターネット記事。解説する荒井哲朗弁護士は、管理人もよく知っている、詐欺被害対応で非常に有能な先生です。その荒井先生にして「情報開示請求などで自称投資家の身元を特定し、訴訟を通して被害金を取り戻すという手段もあるが、『時間と費用がかかる割に肝心なお金が返ってこないケースが多い』という」。やっぱりそうなんだよなあ…管理人も投資詐欺被害案件で訴訟提起までやって(当然勝訴)、回収できなかったことがあります。一般の方々にはよくよく考えていただきたい。荒井先生ですら回収困難なのです。「儲かる」話は無視しなければなりません。膨大な情報が「向こうからやってくる」インターネット時代において、もっとも重要な能力は「スルー」力です。


今日の一行雑感

証人尋問(当事者質問)は、どんなに事前に準備しても、実際はアドリブの要素が大きくなるものである。


今日の雑感

何物も、戦わなければ得られない。何者も、戦わなければ奪われるのみ。文明国における戦いは、訴訟である。他者からの要求は基本的に不当な内容なのである。だって、それで相手がビビって受け入れたら得じゃん?

戦って初めて対等なのである。


動産執行

本日、動産執行に、債権者代理人として立ち会いました。一般論として動産執行は、種々の理由で━━要するに実効性に乏しい━━ほとんど行われません。今回も、現実の回収(執行)には至りませんでした。例えばPCも、個人情報が入っている可能性があるとして、執行対象から除外されます。貴金属とかがあればよいのですが、なかなかそういうわけにもいかないのが現実です。TVドラマのように「差押え」の紙がペタペタ貼られる、ということはないのです。なお、鍵屋に同行してもらい、不在であれば強制的に開錠するのですが、今回は債務者の同居人が在宅で、執行官の求めに応じて玄関の戸を開けたので、鍵屋が活躍(?)することはありませんでした。


近時に限らない雑感

ドロドロした人間関係を描く小説やTVドラマは多い。しかし、弁護士から見れば、単に事実を解明して適宜に法的手続をとればいいだけの話で、そこにドラマ性は無い。最も典型的な、明らかにおかしい点。実話にしろ創作にしろ、そこに触れないご都合主義。それは「ちゃんと養育費を取れ」ということ。法テラスで安価に弁護士に依頼できる。養育費を取らない理由は無い。養育費を取る努力、養育費を取れない事情に触れない実話や創作は、ご都合主義なのである。


今日の一行雑感

自らが訴訟当事者の確定判決による債権額に異議を唱える債権者って…


今日の雑感である

雨で寒い日が一日だけある、こういう日に限って目黒の民事執行センターに行ったのである。書記官曰く財産開示手続は例の法改正以降多いとのことである。でも現状は無視してもなかなか起訴まで行かないのである…


近時の雑感

民事裁判で年単位で進行した時点で裁判官が交代して最初の期日では、裁判官は明らかに準備書面を読んでいない、ということがある。最後のあたりだけを流し読みといった感じだ。多くの事件を抱えて同時並行で処理している中で急な引継ぎで膨大な資料とあれば無理からぬ点はあるとはいえ、裁判官は期日を延期する権限も有しているのである。



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