今日の雑感

「弁護士に頼めば費用も時間もかかるが、『これ』でやれば費用も安く時間も早くできるよ!」というもの。『これ』が弁護士を使わないなら非弁行為(違法)だし、弁護士を使うなら費用や時間に違いはない(むしろ『これ』が介在する分、余計にかかる)。『これ』は、それがわからない情弱向けなのである。こういう「抜け道」を信じる思考は、まさに消費者被害に遭う思考である。


当番弁護と国選弁護

現在、身柄拘束された被疑者段階で刑事弁護で弁護士費用を自分で払う通常の私選以外では、当番弁護と国選弁護があります。この仕組みが結構複雑です。初回無料で弁護士が接見に行くのが当番弁護で、勾留後は国選弁護を依頼することが可能。逮捕直後〜勾留決定までの間(2〜3日)は国選弁護制度の対象外のため、とりあえず1回は無料で弁護士が来てくれますが、引き続き依頼したいなら私選弁護となります。その2〜3日のために刑事被疑者弁護援助制度があり、私選ではあるが弁護士費用を出してもらえます(資力要件はありますが被疑者国選と同様に緩い)。勾留決定後はそれが終わると共に国選に切り替えることが可能であり、手続的には私選弁護人を辞任して改めて国から弁護人に選任されるのです。


芸能人と独占禁止法

本日のELN研究会は「芸能事務所と芸能人の所属契約・取引慣行に関する独占禁止法上の考え方〜『人材と競争政策に関する検討会』報告書を踏まえて〜」と題して、公正取引委員会経済取引局経済調査室長のK氏によるご講演。テーマがドンピシャなのか、いつもより聴講者がずっと多い。ELNはそういう関係の企業会員が多いからなあ。報告書のポイント?発注者が共同して競争を制限する行為。複数の発注者が共同して、?フリーランスに対する報酬・取引条件を取り決めることや、?フリーランスの移籍・転職を制限する内容を取り決めることは、原則、独占禁止法上問題となる(不当な取引制限)。ポイント?取引の相手方に不当に不利益を与える行為。優越的地位にある発注者が課す制限・義務等が、フリーランスに対し不当に不利益を与える場合は、独占禁止法上問題となり得る(優越的地位の濫用)。独占禁止法関係は管理人はCSR研究会の方でも取り扱っているし、共著の担当部分として執筆したこともあるので、よくわかることである。過大な競業避止義務など、典型的なものである。ポイント?他の発注者が人材を確保できなくさせる行為。ポイント?取引の相手方を欺き、自らと取引させる行為。ポイント?競争政策上望ましくない行為。例の吉本の、フリーランスへの発注を全て口頭で行うこと。なお、専属契約だとフリーではないぞという指摘については、個人事業主という意味で使っていると(やれやれ…)。ポイントの他に、芸能分野において独占禁止法上問題となり得る行為の想定例?芸能人の移籍・独立に関するものとして、契約終了後は一定期間芸能活動を行えない旨の義務(契約終了後の競業避止義務)を課す、移籍・独立した場合には芸能活動を妨害する旨示唆する。一般論としては競業避止義務は安心して営業秘密を開示できるので競争促進的だが、芸能人が芸能活動を行う上で芸能事務所の営業秘密を用いることはそもそも想定されるか疑問。音事協のモデル契約書で明示的に禁じる。想定例?契約満了時に芸能人が契約更新を拒否する場合でも、所属事務所のみの判断により、契約を一方的に更新できる旨の条項を契約に盛り込み、これを行使すること(優越的地位の濫用等)。過少投資を避けるため許容される側面はあるが、殊更にこの業界だけ認められるわけではない。バランス問題。真に必要性・合理性が認められる範囲に限定される。スポーツの世界にある移籍金ではどうなのか。ただし不均衡の要素に何を盛り込むのかは個別具体的な判断となる。前所属事務所が、出演先(テレビ局等)や移籍先に圧力をかけ、独立・移籍した芸能人の芸能活動を妨害すること(取引妨害、取引拒絶等)。某ジャニーズ事務所への口頭注意。想定例?所属事務所が、芸能人と十分な協議を行わずに一方的に著しく低い報酬での取引を要請すること。芸能人に属する各種権利(氏名肖像権、芸能活動に伴う知的財産権等)を芸能事務所に譲渡・帰属させているにもかかわらず、当該権利への対価を支払わないこと。契約等を書面によらず口頭で行うこと(直ちに独占禁止法上問題となるものではないものの、望ましくない)。その他諸々。ところで渋谷駅の新南口って、そこもう渋谷駅じゃないよね…

第2局

昨日から本日にかけて打たれた棋聖戦第2局、黒番河野・白番井山。

この碁はねえ…井山、序盤から中盤にかけて万全の横綱相撲、そのまま寄り切らなければならなかった。それが、ポカと見紛う意味不明手を打って局面は混迷。白の大石が取られる、取りません、取ってください、いえいえそちらこそ、といった意味不明なやりとりの結果、細かい流れでもまだ白に残っていた。白中押し勝ち。

河野は不調かもしれない。しかし井山も不調なのではないか。いや、好調過ぎて「わかりやすく勝つのでは面白くないから、敢えて複雑な手を打って遊ぶ」という悪い癖が、またぞろ出てきたのかもしれない。高尾曰く、井山の弱点は「強過ぎて勝手に転ぶ」こと。そこをなんとかして、このまま4-0で防衛してくれよ!


インターネット法律研究部

本日のインターネット法律研究部研究会は、不正競争と情報漏洩に関する判例解説をH先生がご発表。最決H30.12.3は日産からいすゞに転職する者が退職直前に業務関係のデータを私物PCに複製したもの。退職して同業他社への転職直前から不正利益目的を推認。東京地判H30.8.17は医薬部外品の米国からの並行輸入業者が日本における独占販売代理店がそのウェブサイトにそれは真正品でない等記載したことを不正競争防止法違反と訴えたというややこしいもの。薬事法に違反するという指摘が必ずしも正しくない点を信用毀損と認めて損害賠償金を 30万円とした(弁護士費用3万円を加算)。大阪地判H31.1.31は油圧式杭圧入引抜機を巡る争い。業界では周知。被告が自社ウェブページの自伝に原告が「コピー機」を作っている旨記載。原告が知って1年後に自伝掲載期間満了により被告は削除したが社内報として掲載されるおそれがあるのでその限度で差止請求を認めた。大阪地判H31.4.11は外壁等の塗装工事を中心に手掛ける専門業者が、同業者である被告が自ら運営する口コミサイトで被告をランキング1位と示したことを役務品質誤認惹起行為と認めた。ほんま、口コミサイトはステマやでえ。あんなものを信じるのは情弱の典型。もちろん弁護士を紹介するウェブサイトも例外ではない。発信者情報開示請求にかかった費用を損害と認定。東京地判H30.12.27は例のベネッセ個人情報漏洩事件。結論としてベネッセに対する請求は棄却、システム開発会社に対しては1人あたり3,300円を認定(例によって弁護士費用分1割加算)。裁判所が認定してくれる個人情報の値段はこんなものなのである。MTP通信を利用したスマホへの不正な情報書出しは前例がなく予見可能性の問題が(消極)。システム開発会社は犯人と雇用関係は無いものの労務管理をしており実質的指揮監督関係が認められる。ベネッセの件は他にも裁判例があるがそれぞれ結論は異なる。

近時の一言

老若男女に広く支持されるコンテンツは凄いものである。それを支持しない人がいても、そのコンテンツの制作者が他に誰にも支持されないコンテンツを作っているとしても、その凄さは少しも毀損されない。


虚構と説得力

売れる話を作る作家とか脚本家とかは凄い才能である。虚構である以上、どんな「有り得なさそうな」話でも作れる。ただ、そこに説得力を持たせるのは難しい。説得力が無ければ面白くない。面白くなければ売れない。作る側としては、スポーツものなら大逆転勝ちの話を作りたくなろうが、例えば野球で0-10で負けていて9回裏2アウトランナー無しから11人連続ホームランで逆転勝ちという話を作るのは簡単でも、説得力が無い。大逆転勝ちというのは現実には起こしたくてもほぼ起こせないわけで、それを、起こしたければ簡単に起こせる虚構で起こしてなおかつ説得力を持たせる。これは至難である。


e-Sportsへの関心

昨年末の秋葉原電気街の来客が欲する商品として、年齢が10代20代30代はe-Sports関連がかなり多いが、40代50代60代はe-Sports関連はかなり少ない。30代と40代の間にe-Sportsへの関心に断崖とも言うべき決定的な落差がある。30代以下でも若いほどe-Sportsへの関心が大きい。これは、おじちゃん・おじいちゃんがいくら無関心・懐疑的でも、日本でもじきにe-Sportsが盛んになるということである。


今日の雑感

人間、慣れないことをやると単純な勘違いを前提に進めてしまう危険がある。ちょっと確認すればすぐ気付くのに、そのちょっとをしない。そういう危険があることを自覚しないためである。慣れないことをする時は、そういう危険があることを自覚したいものである。かなり「進んで」から気付いても、時既に時間切れというブロント的状況に陥っているかもしれないのだ。

今日の雑感

人生、とっさの決断を求められる状況は突然やってくる。時間が極めて限られた中で「行くか、退くか」を決めなければならない。「どちらでもない」という選択肢は無い。その選択の積み重ねが人生なのである。



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