親族内承継

昨日の東弁研修は「親族内承継の基礎」と題して、「親族内承継の法務」を堂野先生、「事前準備としての株式の集め方」を土森先生、「親族内承継の税務」を立花氏、が講師でした。特に重要なのは、親族内承継で代表取締役(経営者)の連帯保証を、一定の場合は承継しないことができる仕組みでしょう。中小企業庁の「経営者保証に関するガイドライン」(Q&A)は平成26年10月1日に一部改定されています。法人と経営者との関係の明確な区分・分離、財務基盤の強化、経営の透明性確保、等を満たせばということですが、中小企業は債務超過であることが多く、承継人(相続人)が経営者保証を引き継がなければならないとなれば誰も承継しないのは当然です。もう一つ重要なのが、平成26年の会社法改正による特別支配株主の株式売渡請求です(会社法179条)。従前は全部取得条項付種類株式を使うかなり技術的な方法でしかできなかったことが、90%以上の株式保有という厳しい条件下ながら、(相対的に)簡易迅速に可能になりました。やはり、少数者の意見を尊重といっても、不合理な反対にお手上げというのでは物事は進まないのです。これは、建物区分所有法における建替え決議等にも当てはまることです。少数者の意見の尊重は美しいですが、それはそれにより身動きが取れない多数者になった者が言ってこそです。

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CSR

一昨日のCSR勉強会は、流通・取引慣行ガイドラインのH27改正に関し、公正取引委員会の相談事例検討を、井上先生のご発表。健康食品メーカーによる販売地域の制限の事例では、メーカーが流通業者に対して、一定の地域を割り当て、地域外での販売を制限すること(厳格な地域制限)が、ブランド間の価格競争が活発なので販売価格が維持されるおそれがなく、独禁法上問題とはならないという。しかし、通販(特にネット通販)はどうなのかという疑問が生じます。リビング用品メーカーによる商品の陳列方法の指定の事例では、当該商品の販売のための(それなりの)合理的な理由に基づくものと認められ、かつ他の取引先に対しても同等の制限がかせられている限り、独禁法上問題とはならないという。福祉用具メーカーによる店舗販売業者のみに対するリベートの供与の事例では、店舗販売業者よりネット販売業者のほうが1割程度安く売られている状況で、店舗販売業者の販売量によって変動しない固定額の支給なのでOKとした。現在、色々な商品で「店舗では見るだけ、買うのはネットで」という人が増えている。店舗がショールーム化しているのだ。同じ商品がネットのほうが安いのだから、実物の確認は店舗でして購入はネットでするのを防ぐことはできない。そのため、店舗販売業者を支援するのは不当とは言えないだろう。店舗業者とネット業者は「持ちつ持たれつ」の関係なのだから。 -----

会社設立

先週金曜日の東弁中小企業法律支援センター/弁護士研修センター運営委員会主催の研修「弁護士が知っておきたい創業支援」は、弁護士が関与する会社の設立手続を内藤先生、知っておきたい創業支援制度を、山崎氏、創業時の資金調達を、湊氏が講師でした。内藤先生曰く、昔は会社の設立手続は弁護士の固有の業務だったと。今は弁護士以外に司法書士・行政書士・税理士・非弁と入り乱れてのレッドオーシャン分野とのこと。実費も含めて0円、ただし設立後は顧問にしてね、という0円方式もあるとか。まあ、会社設立手続自体が、昔と比べて簡便安価になっていることもあります。昔は株式会社というだけで一定の信用があった(そういう制度設計だった)わけですが…。時代が進み、何でも自由に選択肢を広くしていきます。自由競争です。それは受ける側(消費者)に真贋の鑑定眼が求められます。規制は弱者保護のため。弱者とは鑑定眼のない者も含まれます。そこで弁護士の登場ですよ…? -----

地位確認請求事件

本日の東弁研修「地位確認請求事件の基礎と実務上の問題・対処法」は、佐々木先生と軽部先生が講師。具体的事例として、職務懈怠・勤怠不良・素行不良で懲戒解雇されたという想定で話を進めてわかりやすい。まあ、弁護士には常識ですが、懲戒解雇は難易度が高いので、企業側としてはオススメしません。業務上横領でない限り、実際の事案では解雇無効とされる可能性が高い。この場合に所謂バックペイの問題が重要となる。会社は解雇後は当然給料を支払わないが、解雇無効とされたら、それまでの期間(労働審判なら数ヶ月、裁判なら1年以上)の分、何も労働してないのに給与(相当額)を支払わなければならない。これはキツい。解雇予告手当を支払って普通解雇としていれば…という後悔先に立たずです。 -----

CSR

昨日のCSR勉強会は、「垂直的制限行為の独占禁止法上の取り扱い━流通・取引慣行ガイドラインの一部改正━」と題して木下先生のご発表。事例として公取が挙げる「医療機器メーカーによる通信販売の禁止」は対象会社が「我が国の医療機器Aの販売市場におけるシェアは5%(第7位)」です。一方、「医薬品メーカーによる対面での販売の義務付け」は対象会社が「我が国の医薬品Aの販売市場におけるシェアは約90%(第1位)」です。
O先生からすれば、この数字だけで前者は○で後者は×だと。公取は色々と難しい理屈や基準を述べ立てますが、結論はそういうところに行きますよね。ブランド内競争を制限してもブランド間競争があればいいという考えですが、例えば化粧品なら、競争と言っても「安値競争」ではなく「高値競争」になりそうな気もします。化粧品については、高くなければ(ネット販売等の容易な入手が不可能でなければ)買わない、という客層があるとのことなので…。さらに言えば、「そのブランド」しか買わないなら、それ単独で市場なんですけど… -----

中小企業の契約書

本日の東京弁護士会中小企業法律支援センター/弁護士研修センター運営委員会主催の「中小企業の契約書作成・チェックの基礎」は、ビジネス契約において注意すべき条項について植松先生、取引基本契約書の留意点について滝川先生、フランチャイズ契約書の留意点について神田先生の講義。これも関心が高く、盛況でした。前者は一般的な点、出荷停止・中途解約条項や、反社会的勢力排除条項や、国際取引における紛争解決条項について。これは基本でしょう。中者は基本契約書における略称や、適用範囲や、納入遅延時の損害賠償や、所有権および危険負担の移転時期や、品質保証条項や、知的財産権の保証や、契約書作成日について。個別具体的な条項に関する裁判例は参考になります。後者はフランチャイズ契約の特色や定義や法規制から、フランチャイズ契約書の作成まで。フランチャイズ契約では、本部はノウハウとブランドを提供し、加盟店は加盟金を支払います。これらが対価性を有するかどうかの問題です。フランチャイズ契約では、加盟店の悲鳴や苦情のほうがよく聞こえるかもしれませんが、本部を運営するという観点からの適切なフランチャイズシステムというのも重要なところです。

CSR

本日のCSR勉強会での話題。公正取引委員会の審尋に出頭命令により出頭した者が弁護士の同席を求めた場合に、拒否されたとき、そのまま退去するとどうなるか。弁護士がその者の勤務する会社の依頼した場合と、その者が個人的に依頼した場合で、差があるか(前者は会社からの「お目付け役」)。なお、弁護士は同席したからといって助言などはせず、隣で黙って聞くだけである。
公正取引委員会から弁護士の同席を拒否された場合、実務としては弁護士は同席させない。しかし、これを裁判で争う(審尋に応じないことに正当な理由があり違法ではない)のでないと、いくら議論しても結論は出ないわけです。レペタ訴訟を思い出します。裁判の傍聴でメモをとることがダメと言われて抵抗しない日本人… -----

債権回収

本日の東京弁護士会/中小企業法律支援センター/弁護士研修センター運営委員会主催の中小企業法律支援ゼネラリスト養成講座第2回「法的債権回収の基礎」も盛況でした。やはり弁護士の関心が高いところです。内容は、詐害行為取消権/金銭債権の差押え一般/動産売買先取特権の3本立てです。詐害行為取消権は受益者と転得者の善意悪意の組み合わせによって色々複雑です。民法改正では破産法の否認権との規律の統一を図るとか。金銭債権の差押え一般では、法的理屈はともかく実務では調査が重要です。登記簿は基本で、法人税の確定申告書が入手できれば素晴らしいですが、弁護士会照会や信用情報機関も使う。しかし意外とホームページで自ら明らかにしてくれていることもあるという…。動産売買先取特権は、実務上は相手方が倒産した(する)時に使うもの。第三債務者については完全に秘匿されている場合はむしろ希でしょう。そのため物上代位が有効になることがあります。倒産会社から回収できるというのが良いところです。 -----

中小企業法律支援

昨日の東京弁護士会(中小企業法律支援センター/弁護士研修センター運営委員会)の研修、テーマは「事業再生支援の基礎」と題して、講師は御山弁護士と宮原弁護士と柗野弁護士。大変な盛況でした。やはり、どの弁護士も中小企業に対する法律支援、特に企業経営がうまくいかない場合にどのようにして経営を立て直すか、公的支援をどのようにして受けるか、これに対する関心は高いものでした。
法的整理であれば、基本的には民事再生となります。しかし、これには様々なデメリットがある――国家が強制力をもって行うものである以上やむを得ないものですが――があるので、私的整理(再建型)により、それを回避できます。例えば、民事再生であれは倒産ということであり、それは広く報道されるでしょう。
もちろん私的整理(再建型)においても、様々な困難性があります。詰まるところは、債権者の平等を形式的に貫くことを放棄して、一部の債権者に大きな負担をしてもらうわけですから…。その一部の債権者とは、要するに金融機関です。金融機関をいかに説得するか。金融機関の支持を得て、再生支援協議会や東日本大震災事業者再生支援機構や、地域経済活性化支援機構といったスキームを使って、再生を図ることになります。 -----

個人情報保護法

本日のインターネット法律研究部は「現行個人情報保護法の解釈と実務上の課題」と題して、小菊先生のご発表。個人情報保護法には、特に第三者提供や共同利用などで、わかりにくい条項が多い。そのため?現在改正作業が進められているのですが…。議題に挙がったものとして、例えば共同利用で、共同利用の開始後に共同利用者の範囲を変更できるか。できないというのが条文。これは某ツ○ヤで新規加盟店に対して加盟前の顧客情報を提供できるかという問題です。経産省のガイドラインで「改めて共同利用手続を採る必要があります」とされています。実務で具体的に何をするか、それは、公表すなわちウェブサイトに加盟店追加をアップロードし、それを前提に顧客に対して改めて個人情報を提供してもらう(顧客にとっては個人情報の内容に変更はないが再度送信ボタンを押す)ということになります。 -----

CSR

本日は品川で日本CSR普及協会のセミナー「事業活動のグローバル化に伴うカルテルリスクの理解と対応〜有効な競争法コンプライアンスプログラムの作り方〜」に出席。佐藤弁護士の「海外競争当局によるカルテル調査の現状」、木下弁護士の「各国競争当局のコンプライアンスプログラム等の概要」、木下日本電気株式会社執行役員の「NECにおける取組みの紹介」、の各講義に続き、越知弁護士と籔内弁護士を交えたパネルディスカッションがなされました。管理人も参加している勉強会の先生方です。想定事案としては世界展開の大企業がカルテルを指摘される場面での対応や予防策ということになります。色々と具体的な場面であるべき対応が説明されましたが、例えば特に日本企業(日本の社内)で気を付けるべき初歩的なこととして、発覚後に紙の資料をシュレッダーにかけたりすると多額の制裁金を課される(そういう事例もある)という話はリアリティがあります。現在の実務では、当局から通知が来た時点でもう抵抗不可能とのこと。提出することになる資料は膨大になり、費用は数千万円や数億円になることも。一方、リニエンシーによって数十億円といった大幅な(場合によっては全額)の制裁金減免もあるわけで、適切な対応の価値が非常に高い類型です。例えば、社内の組織図を出す必要があるのか、出せばそれを元に提出する資料の指定がなされる。必要がない場合は出さないという対応も有り得る。勿論、調査への非協力と受け取られない場合でなければなりませんが… -----

オリンピックビジネス

昨日のELN月例会は「スポーツイベントに関する法と規制」と題して、笠原智恵先生のご講演でした。特に興味深かったのが「アンブッシュマーケティング」についてです。これは「イベント等のスポンサーではない者が行う、イベントプロデューサー・オフィシャルスポンサー・その他権利者に対抗して行われる、議論の多いマーケティング手法」とのこと。JOCの判断基準としては「仝⇒の主体者の許諾なしに、⊂Χ藩用の一環として、4覿函γ賃痢Ω朕佑離ぅ瓠璽献▲奪廚箴ι焚礎佑鮠紊欧襪燭瓩法↓ぅリンピックの用語やマークを使用する場合、ゥリンピックのイメージを使用して権利の主体者と何らかの関係を有するとの誤認を生じさせる恐れがある場合」だそうです。具体的には「東京オリンピック・パラリンピックを応援しています」というわかりやすいもののみならず、「祝2020年開催」といったものや「東京で未来の夢を実現」「祝・東京決定」「2020円キャンペーン」といったものまで…。しかし、まずこれは「JOCの主張」であること、次に、アンブッシュマーケティングを禁止する法律は(現在の日本には)存在しないこと(商標登録はしていないので不正競争防止法くらいしか考えられないが適用できそうな条項は無い)、という点に留意する必要があります。実際、世界的に知られた大手企業が堂々とやっている例もあると。また、「Clean Venue」についても興味深い。これは要するにスポンサー以外は公告宣伝になることを許さん、例えば飲料メーカーA社がスポンサーでB社はスポンサーではない場合、試合会場500m以内にB社の飲料の自動販売機は置くなとか、置いてあってもTV局はそれを映すなとか、映る可能性があるならB社のロゴはシールを貼って塞いでおけとか、そういうことです。これがオリンピックビジネスの現場なんですよねえ。アマチュア精神など昔話なわけです。 -----

CSR その36

昨日のCSR勉強会は「カルテル予防のコンプライアンス」と題して籔内先生のご発表。無理やり要約すれば、カルテル(談合)できるような競合企業の担当者同士が会って受注案件に関する話(情報交換)をしただけでほぼアウト。原料値上げ分転嫁の価格引上げだろうが、自社に発注意欲が無かろうが、発注社が受注企業を決めていようが、嘘をついて騙して出し抜こうとしようが、その他諸々、基本的にアウト。ところでカルテル(談合)は具体的には担当者から情報が「上」に上げられて企業としての意思決定が行われるわけで、そうすると受注企業社長としては「情報を上げるな」ということになる。つまり、「殿は何もご存じなく…ぐふっ」というやつで、本当に何も「情報(競合他社担当者から聞き出した)」を上げずに、ただ結論(「当社は○円で入札する」)だけを上げて決裁をもらえば、「上」は本当に何も知らないわけで、少なくとも刑事的な意味での違法行為はやっていない。これがカルテル(談合)問題の本質なんですねえ…



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