個人情報保護法

本日のインターネット法律研究部は「現行個人情報保護法の解釈と実務上の課題」と題して、小菊先生のご発表。個人情報保護法には、特に第三者提供や共同利用などで、わかりにくい条項が多い。そのため?現在改正作業が進められているのですが…。議題に挙がったものとして、例えば共同利用で、共同利用の開始後に共同利用者の範囲を変更できるか。できないというのが条文。これは某ツ○ヤで新規加盟店に対して加盟前の顧客情報を提供できるかという問題です。経産省のガイドラインで「改めて共同利用手続を採る必要があります」とされています。実務で具体的に何をするか、それは、公表すなわちウェブサイトに加盟店追加をアップロードし、それを前提に顧客に対して改めて個人情報を提供してもらう(顧客にとっては個人情報の内容に変更はないが再度送信ボタンを押す)ということになります。 -----

CSR

本日は品川で日本CSR普及協会のセミナー「事業活動のグローバル化に伴うカルテルリスクの理解と対応〜有効な競争法コンプライアンスプログラムの作り方〜」に出席。佐藤弁護士の「海外競争当局によるカルテル調査の現状」、木下弁護士の「各国競争当局のコンプライアンスプログラム等の概要」、木下日本電気株式会社執行役員の「NECにおける取組みの紹介」、の各講義に続き、越知弁護士と籔内弁護士を交えたパネルディスカッションがなされました。管理人も参加している勉強会の先生方です。想定事案としては世界展開の大企業がカルテルを指摘される場面での対応や予防策ということになります。色々と具体的な場面であるべき対応が説明されましたが、例えば特に日本企業(日本の社内)で気を付けるべき初歩的なこととして、発覚後に紙の資料をシュレッダーにかけたりすると多額の制裁金を課される(そういう事例もある)という話はリアリティがあります。現在の実務では、当局から通知が来た時点でもう抵抗不可能とのこと。提出することになる資料は膨大になり、費用は数千万円や数億円になることも。一方、リニエンシーによって数十億円といった大幅な(場合によっては全額)の制裁金減免もあるわけで、適切な対応の価値が非常に高い類型です。例えば、社内の組織図を出す必要があるのか、出せばそれを元に提出する資料の指定がなされる。必要がない場合は出さないという対応も有り得る。勿論、調査への非協力と受け取られない場合でなければなりませんが… -----

オリンピックビジネス

昨日のELN月例会は「スポーツイベントに関する法と規制」と題して、笠原智恵先生のご講演でした。特に興味深かったのが「アンブッシュマーケティング」についてです。これは「イベント等のスポンサーではない者が行う、イベントプロデューサー・オフィシャルスポンサー・その他権利者に対抗して行われる、議論の多いマーケティング手法」とのこと。JOCの判断基準としては「仝⇒の主体者の許諾なしに、⊂Χ藩用の一環として、4覿函γ賃痢Ω朕佑離ぅ瓠璽献▲奪廚箴ι焚礎佑鮠紊欧襪燭瓩法↓ぅリンピックの用語やマークを使用する場合、ゥリンピックのイメージを使用して権利の主体者と何らかの関係を有するとの誤認を生じさせる恐れがある場合」だそうです。具体的には「東京オリンピック・パラリンピックを応援しています」というわかりやすいもののみならず、「祝2020年開催」といったものや「東京で未来の夢を実現」「祝・東京決定」「2020円キャンペーン」といったものまで…。しかし、まずこれは「JOCの主張」であること、次に、アンブッシュマーケティングを禁止する法律は(現在の日本には)存在しないこと(商標登録はしていないので不正競争防止法くらいしか考えられないが適用できそうな条項は無い)、という点に留意する必要があります。実際、世界的に知られた大手企業が堂々とやっている例もあると。また、「Clean Venue」についても興味深い。これは要するにスポンサー以外は公告宣伝になることを許さん、例えば飲料メーカーA社がスポンサーでB社はスポンサーではない場合、試合会場500m以内にB社の飲料の自動販売機は置くなとか、置いてあってもTV局はそれを映すなとか、映る可能性があるならB社のロゴはシールを貼って塞いでおけとか、そういうことです。これがオリンピックビジネスの現場なんですよねえ。アマチュア精神など昔話なわけです。 -----

CSR その36

昨日のCSR勉強会は「カルテル予防のコンプライアンス」と題して籔内先生のご発表。無理やり要約すれば、カルテル(談合)できるような競合企業の担当者同士が会って受注案件に関する話(情報交換)をしただけでほぼアウト。原料値上げ分転嫁の価格引上げだろうが、自社に発注意欲が無かろうが、発注社が受注企業を決めていようが、嘘をついて騙して出し抜こうとしようが、その他諸々、基本的にアウト。ところでカルテル(談合)は具体的には担当者から情報が「上」に上げられて企業としての意思決定が行われるわけで、そうすると受注企業社長としては「情報を上げるな」ということになる。つまり、「殿は何もご存じなく…ぐふっ」というやつで、本当に何も「情報(競合他社担当者から聞き出した)」を上げずに、ただ結論(「当社は○円で入札する」)だけを上げて決裁をもらえば、「上」は本当に何も知らないわけで、少なくとも刑事的な意味での違法行為はやっていない。これがカルテル(談合)問題の本質なんですねえ…


CSR その35

昨日のCSR勉強会は「コンプライアンス GLOBALに活躍する企業のために」と題して佐藤先生のご発表。日米欧のそれぞれにおいて独禁法違反(主に談合)に関し、どうやったら談合が起きないようにできるか等が議論されました。談合の具体的な行為は、担当者が同業他社の担当者と会って価格に関する「情報交換」をする、ということなのですが、そこで例えば「当社は(100まで下げられるが)110で出す」と嘘をついて、相手の会社が109で出すと読んで、「当社」は108で出す、という手法が「談合」なのか(「情報交換」により価格が上昇している以上は談合と認定されるであろう)という議論は実に興味深い。また、日本企業では「申し送り」により代々の担当者が「情報交換(本人の意識としては情報収集)」をしているので、それをダメと言ったら仕事がなくなるといった話も面白い。管理人としては、結局は「摘発」であり、行われている談合の1割しか摘発されていないと担当者が思えば談合をするでしょうし、6割摘発されていると思えば談合をしないでしょう、と考えるのです。これは別に談合に限ったことではなく、世の中の全ての規範がそうなのです。

規範自体は既に適切な内容で存在しており、問題はその実行、つまり摘発である。にもかかわらず、規範に問題があるとして規範を変えようとする。そういう動きに対しては、その意図がどこにあるのか考える必要があるでしょう。


第三者委員会 その2

ゼンショーの第三者委員会のニュース。第三者委員会については2014/04/23に書きましたが、法的に何か意味があるものではありません。この種のニュースを見るにつけ思うのは、日本は法制度は既にあるということ。本件で言えば、勤労者の団結権(団体交渉権・団体行動権)は憲法28条で保障されているのですよ(それを踏まえて労働基準法や労働組合法がある)。大日本帝国憲法下の労働者がゼンショーの従業員を見たら驚くでしょう。既に法律で認められている、あとは行動するだけ。皆で団結して交渉する、労働組合です。自分の幸せは自分で掴み取るしかない。第三者委員会といった「えらいひと」の御託宣により下賜されるものではありません。幸せが社会制度として保障されているので「戦わなくても」幸せな生活を送れる社会は、人類史上存在したことがないし、存在するはずもありません。


今日の雑感

「相手に完全無視された場合に何ができるのか」「現実に回収できるのか」この2点において、非法律実務家は意識が弱い(及んでいない)のです。法律実務家にとってはこれは思考の出発点であり、これを意識しないならそもそも「思考していない」とさえ言えるのですが…


個人情報の流出

ベネ○セの個人情報流出の件。どんな大企業も、個人情報を扱う末端は契約社員なんですよ、実態は…。昔からここから流出するのが通例なので、何の驚きもありません。社会の雇用形態がこのようになっている以上、「個人情報を扱う範囲までは正社員で固める」「正社員しか個人情報を扱えないようにする」のは無理であり、そうできている企業は無いでしょう。契約社員は失うものがありません。そもそも流出が発覚するかどうかわからないし、発覚時点ではそこにいない可能性も高い。企業を守ろうという意識が無いのは当然(そういう客観的状況にない)。守秘義務を課す(誓約書を出させる)とか研修をするとか、やったからといって…流出させるのは金目的の「確信犯」なわけで…

氷山の一角。


CSR その34

昨日のCSR勉強会、「部品カルテル問題と自動車部品カルテル問題の異動」と題して越知先生の研究発表でしたが、さすが非常に深い内容でした。日本の自動車メーカーに納入する部品下請は、コスト構造を完全に把握されているため、メーカーは何円まで値下げが可能かを下請自身より正確にわかる。そして、相見積の段階で下請がカルテルを結び、ある下請がある価格で「落札」予定のはずが、他の下請がそれより安い価格を提示する(裏切り?)。しかしメーカーは「ある下請」に発注することは最初から決めてあり、「他の下請」の提示した安い価格はある下請に対する値下げ圧力の交渉材料でしかない。結局、ある下請はその価格まで下げざるを得ない。結果、カルテルによる価格上昇は生じておらず、優越的地位の濫用ではないか。しかし、自動車の新車開発は数年単位であり最初からこの部品はどこがいくらで作ると想定している。そういうところに「入り込む」には、数年単位の営業と、実際に入れる場合の「コスト資料全て」の提供が必要である…契約開始時にこういうものを要求すること自体は優越的地位の濫用とは言えない。真の意味で契約開始時かは検討課題であろうが…


公益通報の難しさ

公益通報に関しては何度か書いたが、そういえば一昨日は東弁の公益通報相談担当者研修会だった。公益通報は、通報者が就業規則違反(秘密保持条項等)で懲戒されたり、証拠収集や通報の過程で窃盗や名誉毀損等で刑事告訴されたりするおそれもある。これは相談を受ける側としても微妙な、難しい問題であるわけです。もともと公益通報は、たとえ官公庁でも組織内通報では不利益を受けたり放置されたりする実態のもの。ていうか、そういう状態になってから相談されることも多々ある。さらに、相談を受ける側としては、相談者の言っていることが本当かどうかの証拠が無く、証拠が無いことが無理からぬ事案ということもある。前述のように証拠収集行為自体が就業規則違反や犯罪構成要件該当となる場合、それをすべきとも言いにくい。だいたい、会社の顧問弁護士なら利益相反となる可能性も大きい。

そもそも公益通報者保護法は、公益通報者一般を広く保護する法律ではなく、公益通報の中の一定の要件を満たす通報のみを保護するものである。それ以外は一般法理による救済が考えられはするが…

管理人の感覚としては、社内通報で公益通報が本来の趣旨どおり有効有益に機能するという事例は、日本ではほぼ無さそうに思えるのである。社外通報でもどうか。有効有益とは、公益通報者が特定されず、かつ通報された問題行為が解消されるということであるが…会社が通報者が誰かを特定しようとしないのは現実味が無いし、公益通報という手段を取ること自体、普通に話したのでは解消できない状況、すなわち社内で強い権力を有する者の行為、あるいは会社の方針自体に問題がある場合であろうから…

ではどうすればいいのか、それが難しい。ケースバイケースとしか言いようがない。それが公益通報(相談)の難しさなのである。


第三者委員会

第三者委員会というもの、法的根拠は無いんですよね。つまり、第三者委員会が何かしたからといって、それは法的手続ではないし、何らかの法的意味を持つものでもない。もともと第三者委員会とは、不祥事で消費者からの信頼を失った企業が、なんとかして信頼を取り戻そうと考え出した手法とのこと。なるほどなあ、です。

しかし、この第三者委員会の構成員は誰が決めるのか。もちろん、当の企業が決めるし、法的手続でもなんでもないので、それが当然。いったん第三者委員会に調査や報告を依頼したら、そこで厳しい見解が出たからといって文句は言えないし、報酬も支払わざるを得ない。しかし、当然ながらみんな(他の企業)は見ています。「あの先生は厳しい」「あの先生は優しい」という評価は自ずと定まる。すると、第三者委員会の構成員を誰に依頼するかという場面で、厳しい先生にはそもそも依頼が行かず、優しい先生には依頼が集まる。最も依頼が殺到するのは「世間的には厳しいと思われているが、実は優しい」先生、ということになる。

もともと第三者委員会による調査なんて「だからなに?」というもの。それでもこれを意義あるものとしたいなら、少なくとも弁護士構成員の人選は企業ができない(弁護士会に一任される)制度とする必要があるでしょう。そうしたから必ず意義が出てくるとも限りませんが…


CSR その33

本日の日本CSR普及協会のセミナー「独禁法・景表法リスクマネジメントの最新動向」は、「独禁法違反に関する株主代表訴訟の動向と公取委保有証拠等の利用状況」を越知先生と古家先生、「景表法における不当表示規制の概要と実務的な留意点」を佐藤先生、そしてパネルディスカッションという充実の内容。管理人が参加している勉強会の方々の研究成果の発表ということでもあります。セミナーでパネリストの方が言ったのは、影響が大したことない誤表示(別に人体に悪影響が生じるような類ではないもの)について、大した問題ではないと軽視するのは間違いであり、顧客(消費者)は「嘘をつく会社か?」という視点で見ているということ。ほんとこれ、という感じです。管理人は何度もここに書いたことがありますが、人は騙されるのが最も腹が立つ。それで現実に損害を被ったかどうかはむしろ本質ではないのです。


公益通報

本日の東京三会公益通報者保護協議会主催のシンポジウム「これだけは避けたい!弁護士の内部(公益)通報処理」はなかなか興味深い内容でした。そもそも内部告発が保護されるのは矛盾している点もあるわけです。外部に通報するといってもその外部は会社から依頼された(つまり会社から報酬を得る)弁護士だったりするわけで…。別にこれは日本社会の同調圧力とか和の精神とかは関係ないと思うんですよね。そういう解釈は思考停止ではないかと。やはり、裁判で会社に対して高額の損害賠償請求が認容される、それしか抑止力は有りません。行き着くところは裁判官の意識なわけです。社会の問題の改善に必要なのは、全ての問題においてこれです。



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