公益通報に関しては何度か書いたが、そういえば一昨日は東弁の公益通報相談担当者研修会だった。公益通報は、通報者が就業規則違反(秘密保持条項等)で懲戒されたり、証拠収集や通報の過程で窃盗や名誉毀損等で刑事告訴されたりするおそれもある。これは相談を受ける側としても微妙な、難しい問題であるわけです。もともと公益通報は、たとえ官公庁でも組織内通報では不利益を受けたり放置されたりする実態のもの。ていうか、そういう状態になってから相談されることも多々ある。さらに、相談を受ける側としては、相談者の言っていることが本当かどうかの証拠が無く、証拠が無いことが無理からぬ事案ということもある。前述のように証拠収集行為自体が就業規則違反や犯罪構成要件該当となる場合、それをすべきとも言いにくい。だいたい、会社の顧問弁護士なら利益相反となる可能性も大きい。
そもそも公益通報者保護法は、公益通報者一般を広く保護する法律ではなく、公益通報の中の一定の要件を満たす通報のみを保護するものである。それ以外は一般法理による救済が考えられはするが…
管理人の感覚としては、社内通報で公益通報が本来の趣旨どおり有効有益に機能するという事例は、日本ではほぼ無さそうに思えるのである。社外通報でもどうか。有効有益とは、公益通報者が特定されず、かつ通報された問題行為が解消されるということであるが…会社が通報者が誰かを特定しようとしないのは現実味が無いし、公益通報という手段を取ること自体、普通に話したのでは解消できない状況、すなわち社内で強い権力を有する者の行為、あるいは会社の方針自体に問題がある場合であろうから…
ではどうすればいいのか、それが難しい。ケースバイケースとしか言いようがない。それが公益通報(相談)の難しさなのである。